「これ、やるよ」

陸が携帯カイロをポケットから取り出し小柳に渡す。

僅かに触れた彼女の指先が氷のように冷たく、どれほどここにいたのかを思い知る。


「ありがとう。ふふ、かわいいね。私このキャラ好き。相園君が持ってるなんて意外かも」


「あっ…、まあ…。そうだな」


優月が買ってきたカイロが動物のキャラもので、そのまま自分も使っていた陸はしまったと思った。





その後、お弁当を食べながら不自然な沈黙が流れる。




先ほどの小柳の友達の会話が頭にまとわりつき、黙っていることが得策とは思えず陸はまた苛立ってきた。


けれど、どう切り出していいか迷ってもいた。




そうこうしているうちにお弁当を食べ終えてしまった陸は、ついに覚悟を決め口を開いた。



「……なぁ、聞いてもいいか」


「ん?何?」


まだゆっくりおかずを運んでいた小柳は、少し驚いた顔をした。