「ね、今度さスカイマジックタウン行こう!テスト終わったらさ」
「いいね!新しいアトラクションできたらしいじゃん」
いつものごとく賑やかそうな会話。
同じクラスにいたら、だいたいの声の判別もついてしまう。
例え滅多に口を交わさなくても。
盗み聞きするつもりなんて微塵もないはずだが、この中に属するはずの、ある彼女の声の気配を感じないことに気づき、彼女達がいる廊下の向こう側で足が止まる。
「もうあんな奴忘れてさ、楽しもう!」
「そうそう。もちろん、うちらだけで」
「だね!」
「栞には絶対内緒だからね」
「当たり前だし」
勘は的中。
彼女達は同じ“グループ”に属する、小柳を避けて盛り上がっていた。
その原因となるもの、真髄には今まで陸は触れることはできなかった。
でもこんなあからさまな会話をまたしても耳にしてしまった以上、見過ごす事なんてできるはずがない。