(なんで私よりも、そんなに…)
疑問を抱く。
けれどその疑問が、実はこれから待ち受ける、最大にして一番の難題に、立ち向かわなければいけないことへの序章だとは知る由もなかった。
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冬休みが明け、学年末テストと後は卒業式を控えるだけとなり、独特の浮遊感と名残惜しさからか、少し胸をそわそわさせるものを感じさせる3学年の空気。
残り少ない学校生活に浸るよりも、本当にあと少しの辛抱だと感じているのは、少なからずここに二人いる。
その一人である陸は、こんな卒業を間近に控えながら、気分をがらりと一変させてしまう、青空から急激に沸きだす積乱雲のような出来事にでくわしてしまう。
トイレから出ると、廊下で響き渡る女子の声。
すっかり聞き慣れてしまったその声色に、慣れの怖ろしさすら感じた。