とはいえ、この夜は雪が降っていた程の寒さ。
さすがにいくら何でも、彼女にベッドを貸して、自分が床で寝るわけにはいかない。
一晩中ストーブをつけっぱなしなど、もちろん危ないし有り得ない。
それに我慢して風邪でもひいたら、結局家族を困らせることになる。
だから絶対避けたい。
みんなの食事のことや家のことをいつも彼は気にかけていたのだ。
こんな時までも。
妙に冷静になり、ここで変に気を遣うのはやめ、覚悟を決めて、優月が眠るベッドに自分も入ることにした。
彼女の体温で暖まった布団。
一つのベッドに二人がいる状況。
全くもって眠れる訳がなかった。
幼い頃は一緒に眠るなんてごく普通のことだったのに、そんなことを思うと、今ある感情が不思議でおかしくて、切なかった。