ベッドにかがみ、彼女の顔の側で手をつき、少しずつ彼女に唇を寄せていく。
……トッ、とほんの僅かに触れた。
その場所は唇ではなく彼女の鼻先。
拍子にパチッと目を開ける陸。
自分の行動に動揺した。
バクバク激しい脈を打つ傍らで、柔らかい寝顔のまま、変わらないリズムで呼吸をする優月を見て、途端に自分がしようとしていたことを思い直し我に返る。
(……何してんだ、俺)
ベッドの脇に崩れるように座り、ぐしゃぐしゃっと思い切り頭をかきむしると、そのまま頭を抱えた。
彼に襲う罪悪感、後悔。
それは誰に対してなのか。
誰か一人ではないことだけは確かだ。
激しい鼓動はさっきよりも爆音で、やけに速い。
それにあの甘い熱さえ、サーッと引いていた。