そんな沢山の本がある陸の本棚の中で、一角にサッカーの雑誌や関連した本が並んであるのが目に入った。
他にジャンルが違う本が無いだけに目立っていた。
「サッカー好きだったんだ?」
ふいに何気なくそう言った。
「ああ、小中って部活やってて。高一の時に辞めた」
「へえ、そうだったんだ。そういえば、よくサッカーしてたよね」
「お前も一緒にやってたよな」
「そうそう!ボール追っかけるの楽しかったなぁ」
「追っかけるだけのスポーツじゃないんだけどな、しかもゆづは」
「転んでばっかだった、って言いたいんでしょー」
「よく覚えてんじゃん」
「うっさい!」
「あははははっ」
「笑うなー!」
幼い頃、陸についていって一緒に男の子達と混じってサッカーをした時のことを思い出し、優月は何となく納得した。
特にもう気になることもなくなり、口喧嘩も絶え、結局そのまま借りた本を読み始めたのだった。