「……あの子、ひょっとしてまだ十代?」
「そうよね、一緒にいる子は兄妹…かしら?」
「兄妹にしては歳離れ過ぎてない?」
「思った!じゃあ、親子?」
「かもねぇ…、随分若くして産んだのねぇ。最近は珍しくないのかもしれないけど」
足踏みをする瞬と手を繋ぎながら、床の色が変わっていく様子を見ていた優月だが、その話し声に表情を失くした。
自分でも周りにどう見られるかは、ネットで流された写真で充分理解していた。
けれど、冷ややかなその声の主へ視線を移すことはできなかった。
彼女が見上げた先は、少し離れたベンチでこっちを見ているおばあちゃん。
優月の視線に気づいたのか、微笑みながら小さく手を振る。
すると、すかさず優月は瞬に声をかけ、一緒におばあちゃんに手を振り返した。