家事で燃えてしまい、今彼女の手元にはこれまでの家族や友達の写真は一枚も残っていない。
クリスマスケーキを真ん中に、サンタとトナカイの格好をした二人が大口開けて笑っている。
陸一家と海に行った写真や、キャンプ、動物園、テーマパーク…。
かつて自分の家にも同じような写真があったことを思い出す。
泣きべそかいている優月の頭を撫でる陸の写真も…。
中には陸におんぶされているところや、陸のほっぺにキスをする優月の写真まであった。
(うそ、こんなことしてたっけ…。恥ずかしい)
まるで記憶がない優月は変な汗をかく。
懐かしい気分に浸るも、写真に一緒に写っていた陸の両親も、優月の両親も今はいないその現実と、瞬という陸の新しい家族の存在に、途端にめくるページが重くなる。
このままアルバムをめくっていく中で、もし本当に自分がもやもやしていた何かが、すっきりするようなことが見つかっても、これまでと変わらない、仲良しないとこ同士でいられるということに、優月はだんだん自信がなくなっていた。