「えっ…」


きょとんと、声が発せられたであろうと思う方をくるっと振り向く久米田。


「ああ、ええっと、生意気言ってすみません…。その、奈々先輩の手編みを喜ばない男性いないんじゃないかなぁって」


久米田はひゅっと口を尖らせ、含みのある顔で優月ににじり寄る。


「またまた~。かわいいこと言ってくれるじゃん。ねぇ…、もしかしてさっ」



優月の肩に手を回すと、目の前でまた足を組み小声で囁く。



「ゆづちゃん、プレゼント好きな人にもあげるの?」


「……け、検討中です」


至近距離でしかも色仕掛けとも言えるような振る舞いで問い詰められ、言い逃れができずに、優月は顔を赤くしながらそう答えていた。


「そっか。……よしっ、お互い頑張って作りますか」


久米田は決意をしたように、ポンと優月の肩を叩くと、さりげなく入れた頬のチークのせいもあってか、キュンとなるほどににっこり微笑むと2年女子が集まる方へ戻っていった。