「ふふ。みんな、犬好きなんだよね。話合わないから」
小柳は肩を落とし伏目になると、横脇に置いていたコーンポタージュを手に取った。
「けどさ、もっと自分の話も聞いて欲しいとき、あるんじゃねぇの?」
「…ない、わけじゃないけど………」
真剣な顔つきの陸と打って変わって、小柳の顔色はどんどん曇っていく。
「誤解されたままでも、いいのか?このまま卒業して」
「え、何何?誤解?それって、私が…、沢山コクられて優越感浸っていい気になってるってやつ?」
何の戸惑いもなく、自分の悪い噂を言ってのける彼女。
あまりにもそのけろっとした姿に、陸の方が眉間にシワを寄せていた。
「小柳…、それ知ってて」
「それでも、一緒に居ること選んだのは、自分だから。いいんだ」
「は?、何言ってんだよ、無理してんだろ?」
本音を隠し通そうとする彼女に、ムキになった陸は隣の彼女に体ごと向き直る。