陸の手には温かいレモンウォーター、小柳の手にはコーンポタージュが握られていた。




「…でね、この前もね、私が本見てたらピョンって膝に乗ってきたの。もう、まったくう~って感じでね、って、相園君聞いてる?」


「はいはい、聞いてますって。で、どうやって撫でるんだっけ?」


「え、だから、……ルンちゃあ~ん、にゃわいいよー、うしゃうしゃしゃしゃしゃ」




あたかもその場に愛猫がいるかのように、両手でモミモミ、顔をスリスリと、たっぷりの愛情溢れる撫で回しを再現してみせる小柳。


とろけるにっこにこの表情は、彼にすっかり気を許した証拠だろう。


その愛猫の撫で方というか、彼女の豹変した親ばかっぷりがかなりツボで、陸はこれまでにも何度か再現を催促した。




「はははっ、いつ見てもすげぇな。それ、友達の前ではやらないんだろ?」


「……うん。そうだね。名前も教えてないし」


「そんな姿見たら、びっくりするだろうな。……あの、栞がー!って」