「ん?」


「あっ」


パチッと目が合うなり視線を逸らす優月。


不自然なのは明らかだ。




「どうした?あ、もっと食べたいって?どんだけ食欲出てきたんだよ」


「ちが、そうじゃなくて…。じゃなくて…。あのさ、陸って彼女いないのかなって思ってさ」


「……え?」


「前に文化祭の時にね、見かけちゃったんだ。陸と女の子が二人でいるとこ」



一瞬彼女が何を言い出すのか戸惑った陸だが、すぐに合点がいき、空になった自分の分と優月の分のプリンのカップをトレーに戻しながら答える。



「ああ、その子は同じクラスの子だよ。丁度休憩時間で休んでたんだ」


「そう、なんだ…」




納得したようなしてないような、曖昧な面持ちの彼女は、それ以上追及はしなかった。




そんな彼女の浮遊させる心の波を、陸は感じ取らないはずもなく。