陸の肩によりかかりながら、穏やかに眠る優月。
その肩にかかる重さから、直に感じる彼女の存在と体温にドキドキしつつ、ようやく二人の距離が近づいた証拠に、陸は素直に心から嬉しく思っていた。
近づいた本当の意味での、心の距離。
けれど、それは無邪気に言える程簡単な事ではない。
彼と彼女にはあまりにも純粋で、あまりにも残酷な事を示す。
(何度、同じ事を思ったんだろう…。ゆづが好きだって事、でも忘れたいって思ってた事、………もし、兄妹でもいとこでもなかったらって事…)
心地よい彼女の体温を感じながら、陸もしだいに睡魔に襲われ、幸福を抱こうとする自分に、眠りの中でズキンと走る痛みが滲んでいた。
(……この電車がずっと停まらなければいいのに)
(……この電車にずっと乗っていたい)
無邪気に二人はそう思った。
嘘のない気持ちと分け合う温もり。