「ほら、まだ少し熱い」


かがんだ陸は至近距離で優月を見つめ、柔らかく穏やかな瞳は崩さないままだ。


それが彼女の熱を余計上げている要因でもあるようだった。




嬉しいやら恥ずかしいやらで、おでこから手が離れると、彼女はもぞもぞと布団にもぐりこむ。



「ふふ、なんだよ。……ゆづの顔見れて、安心した。彼氏が嘘だったってことも」


囁くようにひとりごとのように、陸はそう呟いた。


布団の中でも確かに聞こえた彼女は、極度の緊張でもう顔を出せず息まで止めてしまった。


「ちゃんと寝るんだぞ。明日、迎えに行くな。…おやすみ」



そう最後に言うと、静かに病室を出て行った。







足音が遠ざかるのを聞き、優月は潜っていた海から顔を出すように、ガバッと布団から這い出る。



「はぁ、はぁ。は~、ドキドキしたー」