「俺の子供。瞬て言うんだ。ゆづきお姉ちゃんだぞー、新しい家族の仲間だぞー」
陸に抱きかかえられた瞬は優月の顔を見て、ぱちくりとまん丸瞳で興味を示したが、2、3日近づくことはなかった。
さすがに突然知らない人が家に来て、戸惑ったのだろう。
怯えたり泣き出したりすることはなかったが、明らかに距離を取っていた。
でも、それも2、3日の間だけ。
それを過ぎたらすっかり優月に懐いて甘えるようになった。
【ゆぢゅ】と、彼女の名前を覚えるのも早かった。
言葉はまだはっきり言えないものの、吸収率はすごく、日に日によくしゃべる。
どうして、陸に子供がいるのだろう。
瞬の母親はどうしているのだろう。
疑問に思わない訳がない。
『俺の子供』そう紹介された時、“ああ、私の知らない時間に、きっと大きな出来事があったんだ。”
そう優月は瞬時に判断した。