「そんで、急に熱で倒れてここに運ばれたってわけか」
「…え?」
「そもそも、こんな遠いとこに彼女を一人置いていく彼氏なんか、信用できねーな。現に病院に運ばれてんだぞ?絶対許せんな」
説明が返って陸の怒りに触れてしまったようで、腕を組むとむすっとした。
(……ま、まずい。何て言い訳しよう。…ううん、もうこれ以上嘘をつくのは…。でも、結構怒ってるし…)
シーツを握りしめながら、優月は必死に思考を巡らす。
「これ、白状せいバカゆづ」
「んう?」
優月が口を開くより先に、陸は片手で彼女の両頬を挟むと、ひょっとこの口にさせた。
「もう誤魔化さなくていい。嘘つかなくていい。…だから、そんな顔すんな」
ドクンッ
はっきり深く、優月の心臓の音が響いた。
彼の穏やかな真っ直ぐな瞳が優月を見つめ、すっと彼女の顔から手を離した。