「あんま心配かけんなって、言いたいとこだけど…。心配くらいさせろ」
「でも、この前、もうガキじゃないんだからって…」
口ごもる優月の顔を覗き込む。
涙で顔が濡れてぐしゃぐしゃになり、目も鼻も真っ赤になった彼女は、かなりドン引きする酷い状態。
でも陸にとっては幼い頃と何ら変わらない姿で、むしろ大きくなっても同じ泣き顔に愛らしさを感じた。
世話焼きの心をくすぐるように。
彼を突き動かすのは、今はそれだけではないけれど。
「……ふ。そんなこと引きずってたのか」
「かなりショックだった」
「そっか、ごめんな…。本気で言ったんじゃねーから。あれは…」
嫉妬。
つまらない、優月の彼氏に対する嫉妬からだ。
でもその存在は偽りだったのだから、もう意地を張る必要もない。
「あれは、ムキになってつい、言っちゃったんだ」