いつも困った時には必ず隣にいてくれた陸が、離れ離れになっても、彼女の望みの光で唯一の心の温もりだった。
―――。.*゜――。.*゜―――
『…確かにあっちにお城が見えたのに、また靄が…。
せっかく見つけたのに。
助けて…。
早くこんな所から出たい。
どこに行けばいいの?
もう歩けない。
助けて
助けて
…陸っ!』
「ゆづ?」
目を開けると、ぼやける視界に映り込む、真っ白い天井と男の人の顔。
(えっ?…うそ、これは夢じゃない?)
何度かパチパチと瞬きを繰り返し、はっきりしてくる自分がいる場所、目の前にいる人の輪郭、目、鼻、口、髪型、そして声。
「……陸?」
「…はぁ。よかった。お前さっきからすげーうなされててさ、怖い夢でも見てたのか?」
そう言うと、放心状態の彼女の頭に、ふわりと微かに触れる程度に手を置いた。