いくらなんでも時間が経ち過ぎていた。
それに、陸だってもう自分のことなど忘れているかもしれない。
そんなことも思っていた。
そして今年の春、もう行く高校も決まっていた矢先、突然の両親の死。
これから始まる新生活は暗闇に変わり、かつてない、行き場のない孤独感に襲われた。
当然お金も無い。
絶望という言葉の意味を、嫌というほど深く思い知った。
すぐにも浮いて消えてしまいそうな、からっぽの彼女を受け止めにきてくれたのは、幻想でもない、昔と変わらない、あの陸だった。
まるで、お伽話の王子のように。
なんて言ってしまうのは、さすがに幻想を引きずり過ぎだろうか。
でも、彼女は本当にそう思わずにいられなかったのだ。
からっぽになり、目の前が真っ暗になった彼女は、どこかで微かな期待を抱いていたから。
忘れてるかもしれない。
でももしかしたらきっと、陸が来てくれるんじゃないか、と。