そして、やむなくご飯を食べ始めた時、居間の乾いた空気に、電話のベルが鳴り響いた。
トゥルルルルル―…… トゥルルルルル―……
ビクッとした陸は箸を持つ手が微かに震えた。
「あら、ゆづちゃんかしらね?」
「俺が出るよ」
おばあちゃんが立ち上がろうとするのを止めると、陸は急いで受話器を取った。
「…はい、もしもし。…はい、佐野優月はこの家の者ですが。………えっ、病院に?」
電話は聞いたこともない病院からのものだった。
さっきからの嫌な予感はこのことだったのだ。
それでも予想もしていないかった事態に、陸は頭が真っ白になっていった。
返答できずにいる陸に、看護師はひたすら呼びかけた。
ただずっと、心臓の鼓動だけは激しく鳴り続けていた。