陸自身も、幼くして両親を亡くしている。


その痛みを、まだずっと幼なかった優月は全部を分かってあげることができなかった。



ただ、ただ、ずっと陸の隣にいた。





今、どうしてるんだろう。もう、私のこと覚えてないかもしれない…。


そう思うも、優月は月を眺めながら陸の名前を呼んだ。



涙で滲む月明かりは、ガラスが砕けたように四方八方に光を散らす。




陸もあの日、こんな風に月が滲んで見えていたのかもしれない。







葬儀の日、冷ややかな同情があちこちから聞こえ、さすがに居心地の悪さを覚えた優月は外に出た。



よく晴れ、小春日和の麗らかさは、少しだけ優月の心を柔らかく包んだ。