もちろん日帰りではあるが、一人きりでかつて暮らした場所に帰るのは初めてのこと。


故郷でもあるが、今はもう誰もいない。



出迎えてくれる人もいないのに、一人きりで行くのには訳がある。





胸の奥で抱える秘密の想いを、この先どうすればいいのか、正しい選択を考えたくて、見つけたくて。

そして、少しでもいい、罪悪感から逃れたいという思いからだ。





電車を乗り継ぎ約2時間弱。

着いた時はお昼をすでに回っていた。



今年の春まで住んでいたのに、何だか随分前のことのように感じる景色。


最初に足を向かわせたのは、閑静な住宅街の中の小さな公園。

こっちに来てからは毎日のように遊んでいた場所だった。



そこで仲良くなった子とは偶然幼稚園も一緒になり、知り合いが誰もいないこの場所から少しずつ心細さがなくなっていった。


陸の後ろをついてばかり歩いていた優月も、一人で友達を作るようになり、いつしか陸を頼ってばかりいたことさえも懐かしむようになっていた。