当時近くに親戚もおらず、父の会社の同僚の家族が声をかけてくれ、生活面等を手助けしてもらうことになった。




一人きりになってしまい、毎日押し寄せる不安な夜。

仮住まいさせてもらっていた父の同僚の家で、夜一人で月を眺めていると、陸の顔が浮かんだ。




陸の父と優月の父は兄弟だった。


2歳離れたお兄ちゃん的存在だった陸は、住んでる場所も近かったこともあり、毎日一緒にいた。


転んだ優月を慰めたり、大嫌いな虫に怯えると退治しにすぐ飛んできたり、悪いことをした時にはちゃんと叱ってくれたりと、優しくて頼りになる、大好きなお兄ちゃんだった。


けれど、優月が5歳の頃、優月一家は突然引っ越すことになった。




それっきり、陸と優月は会うことがなくなった。