なぜか意気投合している二人をよそに、優月は一人黙々と肉まんを食べ続けた。
(そんなもんじゃ、ないんだって…。簡単に言ってくれちゃうなー)
けど、やっぱりどこか元気のない優月に長澤は密かに気づいていた。
それと同時に引っかかる、あることにも。
授業が短縮の日、部活に出ている優月を、長澤は図書室で待っていた。
里乃や後藤も途中まで一緒にいたが、30分後には帰っていった。
一人残った長澤は、ぼんやりしながら考えていた。
彼女の見えない何かを、本当の姿を…。
一見大人しそうに見えるけれど、実は腹黒だったなんてことは、もうすっかり定着しつつあるが、それとは別にもっと違う所で、彼女が抱える何かがあるような気がしてならなかった。
好きになっていく度どんどん気に掛かり、知りたくなる。
でも、その度に壊れ物のような危うさが見え、結局は何も聞けないでいる。