「…もう、これからは自分で何とかしろよ。ガキじゃないんだから」


そう言って、彼女の脇をスッと通る。


優月は体が硬直した。

虫を見つけた時よりも遥かに冷たくなる手、硬くなる足。


何よりもまず痛むのは胸の奥。





その形なき傷の原因は、去る時に彼女に向けた、色を失くした蔑むような目だった。





なぜ彼が急にそんな素っ気無い態度を取ったのか、全く理解できない優月はただ疑問を持つばかり。






そして、僅かに歩み寄ったかのように見えた二人の距離は、再び開いていくのだった。









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「あ!あれって陸お兄さんの学校の制服じゃない?」


学校の帰り道、道路を挟んだ向こう側にいる男子高生を指さす里乃。


ネクタイが緑と黒と白のストライプで、紺のパイピングがついたグレーのブレザーに紺のスラックス。