避けては通れない、忘れてはならない、陸と優月に突然訪れたそれぞれの道。
まだお互いに知らない空白の時間。
幼い頃深めた絆は、空白の時間を埋めるのには容易く、けれど過去に触れないことで、より強固にもしていた。
知る時は、いずれ必ず訪れるけれど…。
夕飯を作る陸とおばあちゃんの背中を見つめながら、優月は陸の家に来た今年の春を思い出していた。
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15歳の春。
出かけていたある日、優月が家に帰ると家は火事に遭っていた。
家は全焼。
中にいた両親は、助からなかった。
突然全てが無になった。
何を頼れば、誰を頼ればいいか、分からなかった。