「そうか」
「これから、どんどん寒くなるけど…、相園君は、その、えっと…」
俯きながら、ひざ掛けをギュウッと握る小柳。
言いたいことはすぐ分かった。
「来るよ。寒くなっても。…小柳の話、聞けなくなるの、つまんねーしな。猫ちゃんの近況も知りたいし」
「………」
小柳はポカンと口を開け、下がり眉をさらに下げ、陸と目が合うなり花が咲くようにほころぶ。
「そっか、それじゃー、来なくちゃダメだね」
どういうわけか、彼女は自分の方が優位に立つ発言をたまにしてくる。
「言っておくけど、ここに来るのはクセみたいなもんだから、小柳のためだけじゃないからな。つ、い、で、」
ついムッとした陸は反抗に出る。
「はははは、わかってるよー。ムキになってる、あはははは」
いつになく楽しそうに声を上げて笑う小柳。
ムキになったのは確かに図星で、恥ずかしくなった陸も思わず笑った。