「え?どうしたの?」


彼は彼女の顔に手を伸ばし…、近づく距離。


「ええ、光?」


顔を僅かに傾け…。


冷たい風がピュウッと吹きつけ、長澤の肩越しの月の眩しさと風の冷たさに優月は思わず目を瞑る。






その時、月明かりの下の二人の影は一瞬重なった。










―――。.*゜――。.*゜―――



バタンッ


走って帰ってきた陸は、玄関のドアを勢いよく開け、洗面所に駆け込んだ。


乱れた呼吸、速い脈、手は異常に冷たい。


なかなか出てこないお湯を待てず、思いっきりひねった蛇口の冷たい水に手を突っ込む。

マヒでもしたように何も感じない。



今度は陸は目を覚まさせるように、バシャッと水を顔にかける。







とても大きな衝撃が彼の体を射抜いていた。