店内には、様々なアロマキャンドルが灯され、幻想的な雰囲気を纏っていた。


どうやら電気は一切使用しない、キャンドルナイトのようだった。




案内されたカフェスペースで、注文したパスタを待つ二人は、穏やかで温かく異国情緒も感じさせる空気に、思わず見惚れた。


テーブルに置かれている小さなキャンドルの火も、不規則な揺らめきが心地よかった。



「今日は満月よ。ほら、窓の外見てみて。月は本当はとても明るいのよ」


そう老婦人に言われ、窓の外に目を向ける。


月明かりに僅かに照らされ、長澤の髪色が月色に染まり、かたどられた輪郭がいつもより大人っぽく見えた。



月を見ている何気ない表情が、彼女の胸をそわそわさせた。





視線を感じた長澤が優月の方を向き、目が合った二人は同時に微笑む。

照れ隠しのつもりだったのに、余計に恥ずかしく思った。