もし、瞬に自分の存在を問われたら。
正直に打ち明けたら彼はどんな反応を示すのか…。
優月は途端に不安が渦巻いた。
それと同時に浮かぶのは、本当の瞬の母の存在。
聞かないでいることが正解か分からないが、知らなければいけない時期が、きっと来るのかもしれない。
長澤にどうかしたと肩を叩かれるまで、優月は突如襲う険しく難しい現実に、視界がぐらついていた。
夕飯の前に帰る予定で、途中まで送ってくれるという長澤と駅前近くを歩いていると、住宅街の中で一際明るく路地を照らしている家を見つけた。
気になった二人がその場所まで行くと、どうやらそこは、西洋風の造りをした雑貨屋だった。
「いらっしゃいませ、丁度今夜はスペシャルナイトの日なんですよ、よかったら覗いていってください」
店の中から出てきた店主らしき老婦人は、そう言ってプレートをOpenからCloseに変えた。