「助けてくれて、ありがとう…。本当に来てくれてなかったら、私、どんどん流されてたかもしれない。本当によかった。元はといえば、私の写真の噂が原因なのに…、う、う、ぐず、ひっく…」
「いいんだよ。何でも一人で抱えようとするなよ。言ったじゃんもっと頼れって。迷惑かけたって、いいんだから」
長澤は膝を抱えて泣きじゃくる優月の頭に、そっと手を置く。
やんわり撫でる手が、あまりにも優しくて、優月は涙が止まらなかった。
「そうだ!今日髪黒くしよう。俺、シャンプー上手いぜ?な?」
何を言い出すかと思ったら…。
突然話題を切り替えた彼に、思わず涙も引っ込んだ。
「………うん」
優月はいつものノリの突き放すような言葉は言わず、素直に長澤に甘えた。
自宅の洗面台で、染髪剤を流すシャンプーをする長澤。
彼の言う通り、程よい指の圧力は、眠くなるほど心地がいい。
「さっき言ってた考えがあるって、どんな考え?」
2年女子に宣告した言葉が気になっていた優月は彼に聞いた。