もちろん優月は長澤のお腹が見たくてわざわざ連れ出した訳じゃないが、まんざらでもないような長澤の態度に腹が立つよりも、とにかく恥ずかしくなった。
「…、今日のノートのこと。ありがとう。お礼言ってなかったから」
「なんだそんなこと?てっきり腹ぐ」
バッと長澤の口を手で塞ぐ。
「それは…、それは」
長澤は優月の手を剥ぎ取ると、にたりと微笑む。
「ふ。心配性。そーだなぁ。じゃあ、口止め料でももらっとくかな。………例えば、キスとか」
ちゅっと掴んでいた優月の手の甲に口付ける。
「なっ」
ズザザザッと後ろに転びかねない速さで飛び退く。
「あっははははは、傑作!まじ最高の反応!俺、これ言ってみたかったんだー」