自分でできると言い出すタイミングを逃し、パパッと陸に絆創膏を貼られる。
「これでよし。それ、すぐ傷が治る魔法の絆創膏。しばらく洗い物しなくていいから」
魔法だなんて、どう見ても普通の肌色の絆創膏だ。
小さい頃のように励まして言ってくれたみたいで、優月は妙にくすぐったくておかしくて嬉しかった。
「はははは、へーそうなんだ。じゃあ、安心だね」
「ったく。今度からはまじで気をつけろよ?」
「はーい」
こんな小さなことなのに、すごく嬉しかった優月は、うっかりお礼を言い忘れた。
後で言えば余計変に思われる。
台所を離れ、部屋を出て行こうとする陸の背中にとっさに焦り、慌てて呼び止める。
「陸っ」
「ん?」
「ありがとう…」
絆創膏をした指を上げる。