手の甲にキスされたことだって、充分恥ずかしい行為なのに。
抱きしめられても拒むことだってできたはずなのに、なぜか受け入れてしまった自分に、一番困惑していた。
瞬につきっきりの陸を見て、優月は洗濯物をたたみ終えた後、今度は食器の洗い物へ移動した。
切ってしまった指の傷口が染み、ある程度和らいでいた痛みが、またズキズキと痛み出す。
自業自得だと耐えながら洗った。
全部洗い終えた後、濡れた絆創膏をゆっくり剥がす。
ふやけた皮膚は、案の定傷口を開かせていた。
「いたたた…。ふさがるの時間かかりそうだなこりゃ」
「…それ、どうしたんだ?」
「うわぁ!陸!い、いたんだ、いるなら言ってよ」
優月の背後から顔を覗かせる陸。