時間にしたらあっと言う間だったが、優月には随分長い時間、彼の腕の中にいた気がした。



彼から女ウケするような、いかにも爽やかな香水なんかより、さりげなく洗いたての柔軟剤の香りがしたことにも初めて気づいた。








家に帰ってからも何だか熱が冷め切らず、洗濯物をたたんでる途中で、柔軟剤の香りがついたタオルを、つい嗅いでしまっていた。



(…あれは、前にうちでも使ってたな)



隣の部屋から、おじいちゃんおばあちゃん陸が、瞬の遊び相手をしている、賑やかな声が漏れ聞こえてくる。



自分が抱きしめられたなんて当然知らない彼らを思うと、とんでもなくやらしいことをしてしまった気分になって、何だか後ろめたくなった。