冷やかされていることに、優月はむすっと仏頂面を返す。



「せっかく長澤が手助けしてくれてんだから、そんな顔するんじゃない!」


目の前にいた優月に手を伸ばし、里乃はフニッと優月の頬をつまむ。


「いで!里乃ひど」


「安心しろ、俺が何とかする。絶対にな」



優月の隣にいた長澤は、その場の勢いで彼女に肩をまわす。



「どっからそんな自信が…」


「死神王子を舐めんなよな!」


「は?死神王子って何それ?」


きょとんとする里乃と後藤。

あの日のことは、誰にも言っていないのだ。


「ツンデレの優月姫様なんだよな」


今度は子犬が甘えるみたく長澤はコツンと優月に頭を寄せ、彼の茶色の髪が優月の顔をくすぐる。


「…ちょちょちょ、何くっついてんのー!変態!!どけっ」



グイッと彼を押し返すも、デカイ体じゃ簡単にびくともしない。