「直接…?」
呼び出された準備室で、複雑な問題にも関わらず、担任は淡々と話を進める。
一刻も早く面倒な問題を解決したいというのが見え見えだ。
「それは、その、困ります……」
「ああ、そうだったな。君の家は両親が亡くなられているんだったな。そのことは、みんなに知られることはないだろ、心配するな」
「あの、そうじゃなくて。大丈夫ですから。噂ももうそろそろ消えると思いますし」
「しかしなぁ…。学校側も、結構困るんだよな…。こういう件のことは」
『困る…?、こういう件?』その言葉に、自分の中で不安にかられていた気持ちが、パッと怒りに変換された。
「そんな言い方ないんじゃないですか?」
教師といえど、反抗せずにいられず、長澤のように立ち上がってそう言い放っていた。