「待ってって優月姫ー。今日一緒に帰んねー?」
「え、何で?」
「すぐ疑問持つよなー、素直に『うん、いいよ』って言えよー。もう、これだからツンデレ姫は」
「はぁ…。他の子と帰ったらいいじゃん。素直な子と」
「何だよそれ」
長澤のおちゃらけた口調が、ふと強めに変わる。
「別に、そう思っただけ。それにさ、私といたら長澤まで変な目で見られるよ?嫌でしょ?」
その言葉を境に長澤は呆然と立ち尽くし、優月はそんな彼を置いてさっさと歩いた。
彼の無邪気さと優しさは、今の彼女にとってはかなり毒だった。
キツく突き放すことは、前からノリでしていたが、今日はノリでも何でもなく、彼のことを思って選択したキツイ言葉だった。