肝心な文は送られてこなかったが、遠まわしに早く帰ってこいということらしい。
結構な頻度でこういうメッセのやりとりを彼はしてくるし、優月もしていた。
いつも通りの陸らしさと瞬の愛らしさに、クスッと小さく微笑んだ。
部活時間を15分早く切り上げ、優月は学校を出た。
不自然なまでに、手を勢いよく振り払ってしまったあの日のことを、数週間経っても優月は引きずっていた。
小さい時は手を繋ぐことなんて当たり前だったはずなのに、陸を意識しないで手を繋ぐことはもう不可能だった。
彼に触れたり、触れられたりすると、もう感情がむき出しになり、平常心を保つのがやっとになりつつある。
うっかり見てしまった、陸と親しくしている女の子のことも、不安要素として色濃く反映し彼女を悩ませ続けた。