「意外だよなー。たまに怖いとこあんのは知ってたけど、まさか、あそこまで」


「あの、えっと、あれは…」


慌てて言葉を遮ったものの、言い返す言葉が出てこない。

いかにもなカタコトになる。



「ははははっ!まぁ、いいんじゃねーの?裏表ない人間なんて、そういねーだろ。貸せよノート」


「え、でも」


「いいから。お前そそっかしそーだし。また落とすぞ」


半ば強引に優月の手からノートの束をひったくると、さっさと階段を上っていく。



今度はノート運びを代わるという長澤。

いつもでは有り得ない状況に、頭が真っ白から再始動すると混乱が始まった。



「さーのちゃん、早くしろよ。先いくぞー」


もう上の階に上がった長澤が、見下ろしながら言う。