「今周りに何か生き物いる?」
「あ、ヒトデがいるみたい」
「わかった。もうそこから動くなよ、絶対だからな、いいな!」
そう言って一方的に陸は電話を切った。
声のトーンからして相当怒っていること予想すると、優月は冷や汗をかいた。
(なんか最近怒らせてばっかいる気する…)
ただでさえ自分の気持ちを隠しているのに、陸とケンカすることになれば、ひたすら胸が痛むだけだった。
しばらくして言われた通り、ヒトデコーナーで待っていると、ドドッと子供の団体が押し寄せてきた。
何かの行事だろうか、ざっと30人はいる。
決して広くはないこのコーナーに、その人数はかなりキツイ。
ここを動けば、またややこしいことになると思った優月は、我慢してその場にとどまる。