きっと、今頃家族も必死になって探しているに違いない。
そう思って、握る手につい力が入る。
「ね、お名前何ていうのかな?」
一番最初に聞いたとき、何も答えてくれなかったが、ようやく彼女の名前を聞くことができることに。
「…りんな」
「りんなちゃん、りんなちゃんていうんだね!そっか、ありがとう教えてくれて!」
闇雲についに光が差した。
優月は彼女の名前を叫び、家族を募った。
そのかいあってか、子供の名前に反応した夫婦が、優月達に駆け寄り、無事りんなちゃんを引き渡すことができた。
神経をすり減らし、へとへとになった優月の一番の報酬は、別れ際に見せたりんなちゃんの笑顔とありがとうの言葉だった。