「まだかかりそうだな…」


瞬の横にしゃがみ、やれやれと手を焼く父親の顔を覗かせる陸。

そろそろ30分は経ちそうだった。



後ろの方で眺めていたおじいちゃんおばあちゃんも、疲れが見えてきたのを優月は気にかけていた。




「陸、ばーちゃん達とちょっと休憩スペース行ってくるね」


「おう。俺達も少ししたら合流する」


そう言って陸は瞬に向き直り、一緒にまたクラゲを眺めた。



その光景は親子そのもので、彼はまだ高校生だということをすっかり忘れさせる。






おじいちゃん達に自販機で買った飲み物を持っていき、後から自分の分を買いに行くと、イルカのぬいぐるみを抱いた子供が、今にも泣き出しそうな顔で優月を見ていた。


(ま、まさか…。迷子?)