陸が女の子と話している。
少しだけ、聞こえてくる声。
(これは、夢の中?…違う。これは、今日陸の学校で…見た…)
。.*。.。.*。.。.
学校の中庭にある、古びたベンチ。
そこはいつしか、お馴染みの場所となる二人がいた。
「お疲れ」
「相園君、お疲れ様」
「ようやく交代してもらえたよ。ほら、これ小柳の分」
陸はパンケーキの入ったビニール袋を彼女に渡す。
もちろん、紙皿とプラスチックのフォークも忘れていない。
「5枚も?これ、全部相園君が焼いたの?」
「まあな」
「いいの?だって、みんな相園君が焼いたパンケーキがいいって言ってたし」
「そんなに群がるほどでもないよ。それにもう客足減ってきた頃で、数も問題ない。むしろ余る。…腹減ってないなら、無理することないけど」
そう言って、おろおろする彼女から袋を取り上げる。