陸は珍しく、瞬にするみたく、彼女に向けてくしゃっと目を細めて笑った。
(悔しい…、ずるい。なんでそんなに嬉しそうに笑うの?)
優月は勝手なうぬぼれも、間違いじゃなかったのかもしれないと知り、今頃になって心がほわっと温もりで満たされていくのを感じた。
自室に戻り、もみくちゃにされた髪の毛をそっと掴んで直す。
…嬉しいけれど、せっかく心も温まったけれど、痛くて切ない方が俄然勝り、一人きりになった優月をじわじわと囲って攻める。
ぼすっと鈍い音を立てながら、優月は布団の上にダイブする。
目を瞑ると浮かび上がる、ショックな光景…。
胸がチクチク痛み、さっきのようにそれを振り払うことができず、苦い顔を布団にうずめる。
しだいに睡魔が近づき、夢か現実かはっきりしなくなり、優月は本当の眠りに落ちていった。