「はいはい。わかりましたよ、陸おにーさん」


里乃がそう名づけていたの思い出し、皮肉をこめて言う。


「…え?何か気持ちわりーな」


「ふん。おやすみ、お兄さん」


例えそう呼んで喜ばれたとしても、優月には全く嬉しくもなかったが。


「お前、…ひょっとして、今日のことまだ怒ってたりする?パンケーキの」



おやすみと言ったらすぐに部屋に行くつもりだったが、陸からそんな言葉が出てくると思わず、つい足を止める。



「怒ってないよ、今は」


「そ。ならいいけど」


「美味しかったよ、パンケーキも親子丼も…」


「ふふ。よかったよかったー。まじで安心したわ」


「わっ!ちょっと、それやめてってば」



よかったと言いながら、陸はわしゃわしゃと優月の頭を撫でる。