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「もーう、遅いゆづ。これ買ってきちゃったよ」
「うん。ごめん」
たこ焼きを見せて訴える里乃。
でも、今の彼女には視界に入っていなかっただろう。
「別に怒ってるわけじゃないけどさー。ほら、あーんして」
「あーん…。あっつ!」
無意識に開いた口に放り込まれる、熱々のたこ焼き。
口の中で激熱たこが暴れる。
「だっははははははは!ぼけっとしてるからだよーん。ね、次あっちのお化け屋敷いこう」
熱いたこ焼きのせいか、優月の目に涙が滲んでくる。
もちろん、それだけじゃないのは彼女自身よくわかっていた。
今さっき見てしまった光景の後悔を消し去るのは不可能でも、このまま紛らわせずにいられるはずがない。