「あの、どいてくれますか?すっごく邪魔なんですけど。…てか、まじどけ」
睨みつけながら限りなく低音で言う。
「……あ、わりぃわりぃ」
「やべ、こえー佐野」
「早く行こうぜ」
一瞬引きつったような顔を見せ、そそくさと退散する男子軍団。
それを見て優月は心の中でガッツポーズと喜びの舞をした。
(ふふふふ。ざまぁ。誰がツンデレじゃ。かー、気分すっきり)
晴れやかな気分もつかの間。気が一気に緩んだか。
「わわ、きゃあ」
バサバサバサッ
ノートをまるごと落としてしまった。
「もー、やっぱりツイてない」
階段下まで落とした一冊を取りに戻ろうとしたとき、誰かが彼女より先に取りに回った。