『一生って…美々ちゃん大げさな…』

『このままじゃ、わかんないじゃん!幼なじみは、ただの幼なじみ!近くにいても、彼女じゃないんだからね?』

美々ちゃんの言うとおりだと思う。

幼なじみは、ただの幼なじみで・・・彼女なんかじゃない。

距離は近くても、蒼の隣にいても、あたしは彼女じゃない。

小さい時とは違う感情が、少しずつあたしの中に生まれ始めていることに気づいてた。

蒼をあたしのモノだけにしたい。

だけど告白をしたら、すべてが終わる。
あたしの世界は、輝きを失う。


[ 蒼 ]

俺は、水嶋家のひとり息子、水嶋蒼。

隣の家に住む、同い年の綾音と共に、今日から高校生になった。

堅苦しい入学式も終わり、新しい教室へと長い廊下を歩いていく。

『こっちだよ!蒼!遅かったじゃん。何してたの?』

綾音が前から走ってきて、俺の腕をつかんで振り回している。

『おまえは・・・犬か』

そう、まるで犬だ。

飼い主の帰りを待ちわびて、じゃれる犬のよう。

『・・・サッカー部のやつらと話してた』

『蒼って高校でもサッカーやるのっ?』

綾音は、すごく嬉しそうな顔で、俺に顔を近づける。

『・・・もちろん…つーか、手を離せ、手を…』