『俺のせいなのか…？俺のせいで…綾音はこんなひどい目に遭ったのか…？』

俺は、震える拳をギュッと握り締める。

『そうは言ってない…ただ、守りたいならちゃんと守れよっ！中途半端なことしてねぇで、俺の女に手出すなって…ちゃんとバリア張っとけ！』

俺の女…
幼なじみとしてじゃなく、ひとりの女として、綾音を守らなきゃいけない…。

『行ってこいよ…保健室…。綾音っちのこと心配だろ？』

ケンは俺の背中を押しながら、教室の外に出した。

『あぁ…行ってくる』

ケンは、いつも冷静だ。

俺と違って…

俺は何でこう…暴走するんだろう。

綾音のことになると、俺は自分でも歯止めが効かない。

ちゃんと…守るから。

ごめんな…綾音。

俺が保健室のドアを開けると、ジャージに着替えた綾音と高橋の姿が見えた。

保健の先生は、周りには見当たらない。

『…蒼…』

そう言って、とても不安そうな顔で、俺を見つめる綾音。

『綾音…大丈夫か…？』

『ごめんね？心配かけて…もう平気だからっ…』

ベットの上に腰かける綾音は、無理に笑っているのがわかった。